2019/03/18
病んだ僧
その人の著書を何冊か読んだことがある。病んだ僧。仏教の修行によって、心の闇を吹き飛ばそうと、していた人。
頭脳明晰。
でも、幼い頃から「淋しい病」にかかっていて、本人曰く、発狂寸前まで追い込まれた人。本の中では、修行によって問題が解決されてきたようにあったので、今でも、その本を、書棚に置いてあった。
が、彼は、昨年の秋、突然、自分の寺をたたみ、実家の僧籍を除籍になり、暖かく野宿が可能な国~多分インドだそうです~へ、寝袋ひとつ持って修行の旅に出たそうです。
マスコミにもたまに現れて…、でも、評判はあまり芳しくなかったようで、本のイメージとは離れた人柄だったようです。
ピリピリとした神経質そうな言動が、話題になったりもしました。
嘘だったんだ…。
修行によって穏やかになったなんて、嘘だったんだ…。
幼い頃からの闇は、彼を蝕み続けていたのでした。
心に冷んやりとした固い悲しい石を持ち続けている自分としては、穏やかな人生を手に入れたのだという事は、希望でもあったのですが、今回の出奔に、残念な思いがしました。
彼は何もかも捨てて旅立って行きました。それは、死も覚悟の旅でしょう。
そして、彼は、親につけて貰った名前を捨てたそうです。私と一緒。
ちゃんと弱い自分を許してあげたら良かったのに…。「修行によって、今は、穏やかに過ごしております」などと、言わなくても良かったのに…。
全部飲み込んで生きたらよかったのに。有名になってしまったのが、仇になってしまったのかもしれません…。
「淋しい病」は、何かのきっかけで、パッと劇的に消えるものではありません。少しずつ少しずつ、飲み込んでいくしかないのです。
帰国するのかどうか…。
生きられるのかどうか…。
今、この時間にも、地球のどこかを、
『サビシイヨ、サビシイヨと、サマヨッテイルアナタがミエル…』
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