2019/02/08
真夜中の国道で
爆音の中、蛇行運転のクルマ。夜中じゅう走る。
バカだ。
国道に差し掛かったところで、目の前で、バイクが転んで、二人乗りの少年が勢いよく振り落とされて縁石に頭をぶつけた。もちろんヘルメットなんか、かぶってはいない。
頭から黒い液体がドクドクと脈を打つ様にオレンジ色の光の中に広がっていく。
水銀灯の光が、雨上がりの霧に反射してきらめくのを不思議な気分で眺めていた。
一緒にいたミキは、看護婦だった。
クルマを降りて見に行った。
もう、ダメだという。
救急車がやけに遅く到着した。
運転していたのは無免許の少年。
誰も泣いている人はいなかった。私も、なんとも思わなかった。
煌めく夜の国道。
あの時、私の心は何も感じないように封印されていた。
人の死さえも、なんとも思わなかったという、驚愕。
戦場の様な家で、生きてきたのだ。
悲しみなんて感じていたら、
多分、自殺へまっしぐらだった。
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