2018/11/14
お弁当いらないから…
「あ、お弁当、忘れた!」「幼稚園バッグが、軽いってなぜ言わなかったの!」
いきなり激しい声。
あ。
「ったく、めんどくさい!!!せっかく作ったのに!!!」
鬼の様な形相で母が怒る。
「私、取りに行ってくる…」
私は、必死で走り始めた。
と、恐ろしい力で二の腕をぐっと持ち上げられて、道に倒される。
母が走り始める。
「アンタが行ったってしょうがないの!!!アタシが行くわよ!!!」
それでも、起き上がって走る。
膝がヒリヒリする。
肩が痛い。
母にはかなわなかった。
頭がアスファルトにガンと叩きつけられてズキズキする。
走るのも母の方が早いんだ。
力もすごいんだ。
声も大きいんだ。
そして鍵も持っているんだ。
私は、その時、母に全能感を感じた。うん、大袈裟に言えば、全能感。
なんとなく、絶対にかなわない、と思ったことの象徴の様な些細な出来事。
母は力が強い。
母は声が大きい。
母は…、母は…。
私は負ける。
その時、幼い私は、母にものすごい恐怖を感じた。
何かを悟った。
走りながら、自分が悪い子で、ものすごく悪いことをしたかのような
自己嫌悪に襲われた。
〜ごめんなさい。ママ、私がいけないんだから。
〜お弁当なくてもいいから。
と泣きながら走った。
どんなに走っても走っても追いつかない。
怖かった。
〜お願い、お弁当はいらないから、怒らないで!!
私がもし、息子といて同じことがあったら、
果たしてこんな風に怒るだろうか????
そう思ったら、自分が悪いと、思うのはやめようと
気がついた。
そんなかわいそうなことは私は息子には絶対にしない。
「ごめん忘れちゃった!!」
「どうしようか???」😊🙏
園に電話を入れて遅刻すれば良いだけ。
どうせ幼稚園だ。たかが幼稚園。
大学入試当日とかではない!(笑)
「忘れちゃった、ごめんね」
でよくないか???
ひとつひとつこうやって、悲しい記憶を消していこう。
その作業のためにこれを書いています。
今、ひとつ、心の棘が抜けた。
「アンタは私が動けなくなったら、虐待するんじゃないの??」
少し前、母が私に言った。
まるでアガサクリスティーだわ。
『そして誰もいなくなった』
あれは名作。ただの犯人探しのミステリーではない。
読んでみたら?と渡したが、そこら辺に放ったらかし。
ふーん。
自分がしたことで、今、追い詰められているのはそっち。
実際虐待するかしないかはわからないけれど。
今、そんな恐怖で体が震えているのはそっち。
もしかしてやり返されるかもしれない…と
思う恐怖よ。
母はよく言っていた。
『私はやられたら、100倍にして返してやるから!!!』
今、母はその自分の言葉に母自身が侵食されていく。
因果は巡る。
自分のしたことは自分に返ってくるのかなぁ?
「やだね。アンタの陰気な嫌な顔…。」
鼻にしわを寄せて言う母。もうすぐ八十だそうだ。
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コメント
100倍返しって・・・TT
記憶が蘇ると、とても辛いですよね。
その代り、「自分は母親のようには思わないし、そんなことしない」って思って、ほっとしますよね。
私も何度もそういう風に心に刺さったトゲトゲをゆっくり抜いていきました。
ダリアさん、トゲが抜けて良かったですね。
悲しい記憶があることって、とても辛いですものね。
本当に「そして誰も居なくなった」になると思いますよ。
私の母もそうです。
2018/11/16 01:41 by 電子うさぎ URL 編集
No title
コメントありがとうございます!
人を恨んで生きていく、という事はしたくはありませんが、
これを通過しないと、自分が生まれ変われないのです。
電子うさぎさんも、お辛い思いをされたんですね…。
私たちは、自分で自分の人生をやり直さねばなりません。
なんとかして、穏やかな時間を取り返しましょう。
今日も電子うさぎさんにとって、良い日でありますように!
2018/11/16 07:39 by Dahlia URL 編集
あと、食事の相席の時に、デパートの紙袋だったので、いつのまにか他の人の紙袋と入れ替わっていて。そのお店の人に事情を話しておけばいいだけの琴を、母がいかにも私が悪いように父に行って、またまた二人から精神的な言葉のリンチ。生まれてからずっとだから、虐待には切りがない。
2019/02/07 15:37 by URL 編集
Re: お弁当いらないから…
その時に感じた思いって、消えないんですよね。
どうしても、いつも心の底に、
「私は、ダメな子、嫌な子」という洗脳が、
こびりついてしまっています。
分かりますよ。
かわいそうに…。
2019/02/07 18:29 by Dahlia URL 編集