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隠していた交通事故

昔、整体の先生に母が言われた。
「偏っている。心も、体も」
つぶやく様に言っていたので、母は、聞いていても聞かぬふり。でも、私にはよくわかった。



私は、結婚して小さなマンションに住んだ。子育て世代がいっぱいのマンション。

幼い頃の私のうちは、母の絶叫の怒鳴り声と、私の泣き叫ぶ声が常にしていた。「子育ての時代はみんな必死だから、当たり前。一生懸命育てようとすれば、当たり前。」と、母は言っていたが、マンションの周りからは一切そんな声は聞こえてこない。


おかしいな。なぜなんだろう。そして家を建てて今の家に住んでも周りの家からはサッカー中継の応援や、笑い声は聞こえてきても子供を怒鳴る激しい声は聞こえてくることはなかった。



これは…、と思った。変。変なのはどっち?そう、私の育った家。
ここで私は初めて虐待の事実を疑ったのだ。




私は小学校上がる前に交通事故に遭ったことがある。ひとりで友達の家に遊びに行った帰りに道。母に言われた帰宅時間を五分過ぎでいて、慌てていた。

時計を見たとき、身体中が泡立つくらい恐ろしかった。叱られる。急がなきゃ。いつもは必ず止まって左右を確認する細い道。このときはそんなことどうでもよかった。


私は、その路地を飛び出し、徐行していた軽トラにぶつかった。幸い怪我は腰を打って足を引きずる程度。

私は、この事故を母に𠮟れらるのが怖くて黙っていたのだった。

運転手の若い人が送って謝ると言ってくれたが、家の前で
「内緒にしてほしい、絶対に家に来ないでほしい」と、泣いて懇願したそうだ。

びっこをひく私は、転んだと嘘をついて大したことはないと言った。母も、興味もなさそうに怪我を見ることもしなかった。

数日後、軽トラのお兄さんが、心配して家にやって来た。


「お嬢さんが、お母さんに黙っていて欲しいというもので、お詫びが遅くなってすみません」
と。


やり取りを障子の陰で聞いていた。恐ろしかった。怒鳴られる。



そのお兄さんが帰ると、顔色を変えた母に

「このことはみっともないから誰にも黙ってるんだよ。わかったね。」

と、はっきりとした大きな低い声で言われた。







震え上がるように恐ろしかった。


「私がいけないんだ。すべて、自分が悪いんだ。」
何かの罰なのだろうと思った。嫌な子だから…。

父が帰宅すると、病院へ行けと言う。
しかし、次の日も、その次の日も、いつまでたっても病院へ行くことはなかった。
これは、もう、四十五年も昔のこと。


私はたまに、心がぐらぐらする。忘れていたことをふと思い出す。もう、昔のように心を封印できない。

子供は虐待されても、なかったかのように心の中に封印してしまう。傷ついていることを無いことにしてしまおうとする。親がいないと生きてはいけないのだから。自分の親を良い存在と思おうとするのだそうだ。

車にはねられて、そんな怖い思いをしたのに、それを言えない親って、どんな親だったのだろう。
どれだけ怖かったのだろう。どんな毎日を過ごしていたのだろう。



大丈夫だよ、と自分に言い聞かせる。
大丈夫。あなたは悪い子じゃないよ。罰なんてそんなことないの。


お母さんは、お友達もいなかったんだよ。いつもひとりぼっちだった。子育てが嫌だったんだよ。

毎日、かわいそうだったね。毎日すごく怖かったね。


でも、もう終わったよ。









どうか、みなさま、子供の心を大事に育てて下さい。子供の心は柔らかく、健気です。何か起こると、自分のせいと思うのです。~~紛争地帯で親が殺された子は、自分が悪い子だから親が殺されたんだと思うことが多いそうです。


この世の中から、幼児への虐待がなくなりますように。悲しい思いをしながら育つ子供がひとりでも救われますように。それが私の願いです。



私は、今でも、スキーの左ターンが苦手(笑)


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コメント

こんにちは。
先ほど、このブログを知り、初めから読んでいます。
とても良く分かるのです。
わたしは、40歳を過ぎて、うちが本当に異常で、わたしも虐待させていたことに気づきました。最近です。
ずっと自分の親は良い人も思いたかったんですね。
特に、今日のブログは泣けました。

わたしは、自分の育った環境ゆえに子供は要らないとの考えに至り、子供はいません。

今、子育てしている人みんなに、この度はブログを読んでほしいと、心から思います。

No title

kさま

はじめまして。
ダリアです。

コメントありがとうございます。
お読みいただいてありがとうございます。

なんででしょうね…。
気がつかないって、洗脳なんですね。

少しでも、虐待、無くなって欲しいですね。

良い一日をお過ごしくださいね。

分かります。全部分かります。私も同じです。小学校の時、熱があっても休ませてもらえず、保健室で保険の先生、担任の先生からも煙たがられ、放課後まで放置されました。迎えに来た母からは暴言。誰も助けてくれなかった。

No title

この時ほど怖かったことはありません。

なので、名無しさんのお気持ち、とてもわかります。


自分がいない方が良いのではないかと、このあたりからずっと思って生きてきました。
生まれて、すいません、です。

泣けました。同い年です。
そして私は小学生3年の時、誘拐未遂にあったのだけど(刺されそうだったので自力で逃げた)、母が怖くてもちろん言えませんでした。ずっと奥にしまっておいた思いをわかってくれる人がこの世に存在したことが嬉しくて心が震えました。追いかけられる怖い夢をしばらく見ました。
でもそれより母が怖かったんだ。って言える幸せ♡

Re: 隠していた交通事故

ちーやんさま

びっくりです。怖かったでしょうに…。と思うと、涙が出ます。

苦しかったですよね。ひとりぼっちでそんなことを心にしまっておかねばならないなんて。同じ様な体験をした人がいるなんて…。本当に、言葉もありません。
私も心が震えました。

大丈夫…正義は勝ちます。今毒母は、ひとりぼっちで、六畳一間の狭い老人施設で、泣いています!大丈夫です!神さまはちゃんといます!
しあわせになりましょうネ!!!
親は捨てましょう。
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プロフィール

ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

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