2018/09/17
四つのゼリー
四つのゼリー母の妹の民子おばちゃんとその息子コウジとヒロフミが遊びに来た。
ヒロフミは私のひとつ年下。
当時は皆幼稚園児だった。
母は、作ってあったゼリーを出した。
コウジ、ヒロフミ、私の弟、そして私、と、子供は四人。
「あ、ゼリー、4つしか作ってなかった。」
母は、民子おばちゃんと子供3人にゼリーを出した。私にはない。
「足りないなら、いいよ、私はいらないよ。子供たちみんなに食べさせようよ。」
民子おばちゃんはそう言った。
すかさず、母が、
「幸子は、我慢しな。一番お姉さんだから。」
緑色のゼリーは、大事そうにガラスのお皿に乗っかって、
小さなスプーンが添えられた。
わあぁ〜!
みんなの歓声が上がる。
春だったと記憶している。
幼稚園年長になったばかり。
4つのゼリー。
「あんたは、我慢ね。」
私は、隣の寝室へ飛び込んで泣いた。
わんわん泣いた。
母が、怒っている。
民子おばちゃんが来た。
「かわいそうだわよね。まだ、5歳だもの。おばちゃんはいらないから、サッちゃん食べな。いいから…。」
「いいのいいの、我慢させれば。そのくらいのこと。何よ!!みっともないんだから!!」
子育てを経験した自分が、今それを考えると、そんなことは絶対できない。
二十歳の息子にも、それはしない。
友達の分はあって、息子だけにはおやつがないなんて…。
ゼリーの問題ではないんだ。
泣いている私を横目に、
皆はゼリーを食べたのかどうか…。そんなことは覚えていない。
「ほっておいていいから!みんなで食べて!」
と母が、すごい剣幕で言ったのを覚えている。
わがままなんだから。本当に、嫌な子。
皆が帰ってから、また無視が始まった。
何日も…。
私は、繊細すぎるのだろうか?
母は正しいのだろうか。
こんな毎日だった。
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コメント
2019/02/07 14:02 by URL 編集
No title
どんなに辛かったでしょう。
言葉がないです。
泣きながら書いてます、これ。
2019/02/07 21:04 by Dahlia URL 編集