2018/06/26
産まれてガッカリ
私が産まれた時に、父は女の子が産まれてそれはそれはガッカリして、誕生を聞いてすぐにやけ酒を飲みに行ったそうだ。
母はそのことを、親戚や、近所のひとに、さも当たり前のように話していた。
何度も何度も。どこへ行ってもその話をしていた。なんの意図があったのだろう。
「ね、もう、なんで女だったんだろう…。心底ガッカリしたのよ、皆で。この子が産まれた時ね。」
「もうみんなガッカリ。女なんか産まれちゃって…。名前も男の子の名前しか考えてなくって、もう、どうしようって。」
「ちょっと見ただけで、パパはやけ酒よ。帰って来なかったわよ」
これは、幼稚園ごろまで続いた。
で、ある時、親戚の集まりで、いつものように始まったこの話に、
「子供の前で、そんな事言うもんじゃないわよ!」
と、母はピシャリと義姉に言われたのだ。
この義姉には母は、嫉妬と憧れと、嫌悪感を持っていた。自由に生きている利口な人。
ふて腐れたような顔で子供のように顔を背けたのを
私ははっきりと見た。決まりの悪そうな母の顔。
けれども、幼稚園の私は、ちっとも悲しくはなかった。何故って、ね、こんな事は、日常茶飯事。
自分でも、私は皆に嫌われていると、当然のように思っていた。
自分なんて何に価値もない。産まれながらの厄介者。「嫌な子」なんだ。
そんなことは、当たり前と、思っていた幼児。悲しい気持ちなんて許されない。
へらへらとごまかしたような笑いを浮かべているのが精一杯。
どんな顔をしていれば良かったのか?
仏頂面は許されない。悲しい顔?いやいや、怒る?もってのほか。そう、
ヘラヘラと卑屈な顔をして笑うしかないか…。
小学校前の幼児。悲しい性。
お正月に親戚が揃う温泉旅館のロビーで。
座っていた順番まで覚えている。
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コメント
2019/02/07 09:22 by URL 編集
No title
二度と付き合わないとか言って切ってしまいました。
そのツケが回って今は孤独です。
だから虐待の事実を知っている人は、弟だけです。
2019/02/10 20:35 by Dahlia URL 編集