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付き添い

乳癌になって、抗がん剤が始まった。

一度、母が付き添いで来たことがあった。
最初のころは、付き添いが必要と言われていたが、仕事で主人が来られず、
その日だけ、母が来た。


十床以上並ぶベッドでは皆、抗がん剤の点滴をしている患者さんで、いっぱい。
横には付き添いの方が小さな椅子に座り、静かに寄り添っている。
大丈夫?
気分は?
お茶飲む?
細かく患者さんに心使いをする付き添いの方。


しかし、ウチだけは違った。
「ちょっと、気分が悪いんですが、空いているベッドはないでしょうかって、看護婦さんに言ってよ。私、なんだか、気持ち悪い。無理だわ。」

と、私に言って来た。
え??
私は、2回目の抗がん剤、不安もある。
高熱が出る場合もあるので付き添いが必要だと言われているのに。
私は、これから、分子標的治療という当時最先端の治療をするのだ。

ここは、有名な大きな病院。重症な方が多い。空いているベッドなんてない。
皆、抗がん剤の点滴のベッドの順番を何時間も待っているのだ。

母は、自分で看護士さんに声をかけて、強引に横になろうとした。
「申しありませんが、見てわかるように、ベッドは空いてはいません。」
「みなさん、しっかりされてますので、付き添いの方も頑張ってください。」

え??

幼児の様にあからさまに不安げな顔をする母。



そのうち、暗くなってくる。

「ね、帰りの車の運転、私、できないかもしれない、無理かも。」


じゃ、どうすればいいというのか…。今日私には、運転なんてとても、無理。一回目の抗がん剤は入院で、そして二回目である。初の外来での抗がん剤。

「◯ちゃん(私の主人)に連絡して迎えに来てもらってよ。」


こんな時まで、私は母のお守りをしないといけないのか。

結局、抗がん剤が済んで、自分で会計を済ませて、次の予約を取って
携帯で仕事中の主人にやっと連絡をつけて迎えに来てもらった。母は待合室の大きなソファで休んでいた。

「終わった?ああ、よかった、もう、気分悪くて、運転なんてできないわよ。」
大きな声で回りへの配慮もなくこんなことを言った。


もっと辛いひとはいっぱいいるのに…。
何も見えていないのかと、思った。

末期で、具合が悪そうな方。
乳飲み子を抱えて抗がん剤治療をしている方。
目に入らないのだろうか…。

看護士さんたちに睨みつけられた母は、二度と病院へは来なかった。
手術の日さえも。
見舞いにも来なかった。
退院の日も、私はひとりだった。

母が来るより、ひとりの方が、断然、楽なのだが(笑)


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コメント

私の母と違うのは、私の母は外では完璧に良い人を演技できる事です。なので、私が誰に虐待の話しをしても信じてもらえず、逆に私が避難され白い目で見られ、怒られ、無視され、は慣れて行きます。その点、部分主様のお母様は外での演技をしないので、周りの人に分かってもらいやすいのかなと。私がガンになったら、夫も居ないので、一人で何が出来るのか…。

No title

なるほど。毒母は境界性パーソナリティ障害との診断なので、ひととは関われません。

演技が出来る名無しさんのお母様は、少し違うのかもしれませんね。

お母様にも、虐待された経験があるかもしれませんね。そこら辺も探ってみてください。
とにかく、なんでもかんでも調べて、自分が悪くないという、裏付けを取ってみて!!
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プロフィール

ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

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