2018/08/13
付き添い
乳癌になって、抗がん剤が始まった。一度、母が付き添いで来たことがあった。
最初のころは、付き添いが必要と言われていたが、仕事で主人が来られず、
その日だけ、母が来た。
十床以上並ぶベッドでは皆、抗がん剤の点滴をしている患者さんで、いっぱい。
横には付き添いの方が小さな椅子に座り、静かに寄り添っている。
大丈夫?
気分は?
お茶飲む?
細かく患者さんに心使いをする付き添いの方。
しかし、ウチだけは違った。
「ちょっと、気分が悪いんですが、空いているベッドはないでしょうかって、看護婦さんに言ってよ。私、なんだか、気持ち悪い。無理だわ。」
と、私に言って来た。
え??
私は、2回目の抗がん剤、不安もある。
高熱が出る場合もあるので付き添いが必要だと言われているのに。
私は、これから、分子標的治療という当時最先端の治療をするのだ。
ここは、有名な大きな病院。重症な方が多い。空いているベッドなんてない。
皆、抗がん剤の点滴のベッドの順番を何時間も待っているのだ。
母は、自分で看護士さんに声をかけて、強引に横になろうとした。
「申しありませんが、見てわかるように、ベッドは空いてはいません。」
「みなさん、しっかりされてますので、付き添いの方も頑張ってください。」
え??
幼児の様にあからさまに不安げな顔をする母。
そのうち、暗くなってくる。
「ね、帰りの車の運転、私、できないかもしれない、無理かも。」
じゃ、どうすればいいというのか…。今日私には、運転なんてとても、無理。一回目の抗がん剤は入院で、そして二回目である。初の外来での抗がん剤。
「◯ちゃん(私の主人)に連絡して迎えに来てもらってよ。」
こんな時まで、私は母のお守りをしないといけないのか。
結局、抗がん剤が済んで、自分で会計を済ませて、次の予約を取って
携帯で仕事中の主人にやっと連絡をつけて迎えに来てもらった。母は待合室の大きなソファで休んでいた。
「終わった?ああ、よかった、もう、気分悪くて、運転なんてできないわよ。」
大きな声で回りへの配慮もなくこんなことを言った。
もっと辛いひとはいっぱいいるのに…。
何も見えていないのかと、思った。
末期で、具合が悪そうな方。
乳飲み子を抱えて抗がん剤治療をしている方。
目に入らないのだろうか…。
看護士さんたちに睨みつけられた母は、二度と病院へは来なかった。
手術の日さえも。
見舞いにも来なかった。
退院の日も、私はひとりだった。
母が来るより、ひとりの方が、断然、楽なのだが(笑)
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コメント
2019/02/07 12:50 by URL 編集
No title
演技が出来る名無しさんのお母様は、少し違うのかもしれませんね。
お母様にも、虐待された経験があるかもしれませんね。そこら辺も探ってみてください。
とにかく、なんでもかんでも調べて、自分が悪くないという、裏付けを取ってみて!!
2019/02/07 21:28 by Dahlia URL 編集