2018/07/25
ハサミを持つ妄想
母は、お洒落が好きだった。クロゼットには、イタリア製のスーツや、お洒落な服がぶら下がっていた。
中学のある夏の日、
寝室で横になっていた時、そのクロゼットがちらりと目に入った。
そばに、洋裁道具とアイロンが置いてあった。
「いつか、あの服を全部あの裁ちバサミで、切ってやろう」
そんな思いが頭をよぎった。
全部服を切ってしまうんだ。母は、どんなに失望するだろう。
今、やろうか…。
いつ、やろうか…。
そんな事を考えていたら、母が入ってきた。
ハッとして自分の部屋へ行こうとした時、
わけのわからない怒鳴り声で、よばれた。
この頃は、もう母の声がすると、鳥肌が立つようになっていた。
鳥肌の立つ自分の腕を見て、
「あ、私、こんなになるんだ。呼ばれただけで鳥肌が立つんだ。」
と、思った日のことをよく覚えている。
ブルブルっと身体も震える。
でも、
当時は、なんとも思わなかった。
でも、フッと気がついた。その瞬間を実によく覚えている。
それって、おかしいですよね。
でも、これを誰に相談するのでしょう?
誰が助けてくれると言うのでしょうか?
なので、なかった事にするのです。全てを。
そして病んでいくのです。
〜〜〜〜〜〜〜〜
被虐待児は、生きるために自分の辛い経験を記憶から消します。私も、五十まで、「母が正しい、自分が悪い」と思っていました。その間、常に他人の機嫌を伺い、恐ろしい思いをしてこの世を生きるのです。
虐待は、犯罪です。こんな悲劇がなくなることが私の願いです✨
スポンサーサイト
コメント
2019/02/07 11:57 by URL 編集
No title
今も、悲惨な虐待の事件が絶えません。
家の中が地獄なんて、ね…。
2019/02/10 20:02 by Dahlia URL 編集