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閉鎖病棟へ

母は、受診の翌日、精神科へ入院が決まった。攻撃性が強く、なんらかの大きな精神の病の可能性が高いという。認知機能に問題はないという。計算も、そのほか色々も全く問題ないという。





演技だったのだ…。








が、それまで、私の家に1泊、預かる事になった。








アルツハイマーではないとの診断に母は、何故かご機嫌で家にやってきた。
『来たよ~!』




は?










もう、これまでの私達の苦しみや父を亡くした悲しみなど、すっかり忘れたその笑顔。






夕食後、私は母に、こう言った。





「幼い頃、「ああ、昨日はdolceを叩き過ぎちゃって手が痛いわ」と近所のおばさんに言っていたあなたは、これからどんな死に方をするんでしょうね。
逆に考えたら、そんな悲しい事さえしなければ、人生ってしあわせに生きれるんだって、すごく勇気が湧いたわ。そんなの簡単だもの。」




こう言ったけれど、すっとぼける毒母。




『あなたは嘘つきだったから。昔から。おかしかったから。』




と私に言った。ヌケヌケと。








さすがに、もう、冷静ではいられなかった。、心の中の事を全部言ってやった。最後は怒鳴り声になっていた。全て聞いた後に、母は、


「一生懸命育てたつもりだけれど、育て方を、間違えました。すみませんでした。」


と、言った。大根役者のセリフのようだった。


そう言い終わって、膝を崩そうとした母を、私は、咄嗟に、思い切り足で蹴ったのだ…。




なんということ…。




部屋の外で息子が止めようとしている声がする。




でもダダが、言っている。


『怒りを全部出させて楽にさせてやろう。止めたら、かあたんがかわいそうだ。やらせよう。かあたんの気持ちが大事だ。』




私は、何回か思い切り母を蹴った。
泣かない母。
泣かないんだ。


そのうち、なんとも、馬鹿らしくなった。





馬鹿みたい…。




『私はもうあなたに名前を呼ばれるのが嫌だから名前を変えたの。お父さんは悲しむと思うから黙っていたの。もう私は〇〇じゃないから。』


『なんて名前なの?』


『教える気はない。あなたにはもう呼ばれたくないから。』






「さ、病院へ行くよ。時間だよ。」

ダダの声がした。




外は大雨だった。
母は、名残惜しそうに私の家を見渡していたが、私は、

『もう、二度と来ないで!』
と、叫んでいた。喉が枯れるほど…。








自分の非情さに、自分で驚いた。でも母は平然と帰って行った。
息子が傘を差し掛けて母に付き添う。








雨の朝。








忘れていったのか、布団の横にバッグがあり、中には、封の切っていないお札の束がいくつか入っていた。まだ隠していたのか…。
ああ、また相続の書類を書き直さなきゃならないじゃないの…。
お金…。こんなものは、人生の最後にはなんの役にも立たぬ紙切れだ。






人生で一番大事なものに、値札はついていないんでね。


















実家へダダが送ると、母は、待っていた弟に、昔、五十五年前に、虐待はあったのか?と聞いたそうだ。
『ひどい言葉の虐待と、暴力と両方あった。お姉さんにだけ。僕はされていない。』
と答えたそうだ。
母は、そんな事、ありえないと首をひねったそうだ。




ああ、疲れた。もう、早く何処かへ消えて。


もう、二度と絶対そばに来ないで!








弟が、安い施設を見つけて、そこに入れる様に話を進めている。そこへ入れるまでは、精神病院に入院。しかも閉鎖病棟だそうだ。






私は、朝、母が帰ると、眠ってしまった。
起きたら、もう夕方だった。




とてもぐっすり眠れました。
起きたら、
息が深くなり、お腹の底まで空気が入る気がする。
今までは、呼吸が胸でつかえていたのか、わかりませんが、呼吸が深く、なんだか、今までと感じがする…。




心の傷ってこんななんだ。ここまでなんだ、と愕然とした。




あと少し…あと少しで全てが終わる。
落ち着け、と、自分に言い聞かせる…🦋

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プロフィール

ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

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