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二つの紙袋

『そこの紙袋にお金が、たくさん入っているの。お葬式代。』







と母が言った紙袋には、家が買えるほどの1万円札が入っていた…。お葬式は簡素にと遺言にあったので、お金はそんなにかからなかった。




『紙袋は二つあるの。もう安心ね…。』
奥にも、もうひとつ同じ紙袋。この現金と一緒にいたと言うことなのか…。


これをいつ下ろしたのかと聞いたら、父が倒れてからすぐにだそうだ。銀行を呼んで、持って来させたそうだ。よくも、そんな時に、お金お金と、銀行巡りをして…。こんな事になっていたとは、情け無くて、涙も出ない。一回で下ろせないものは、日を分けて下ろしている。父が苦しい時に。




オムツ交換もしないで、身体を拭いてやることもしなかった。部屋は異様な臭いがしていた。


花もない、何か音楽を聴かせるでもない。ほったらかしで、ただの水を水道からペットボトルに入れて、ベッド脇に置き、頭をあげる事もせずに、寝たまま飲ませていた。その度に苦しくてむせる父。


それを、枕元で、立って見ていた母。緑茶だって、紅茶だっていくらでもあるではないか!自分は飲んでいるではないか!なのになぜ父には、いつ汲んだか判らぬ様なぬるい水を飲ませているのか…。






ケアマネが、私に毎日オムツの交換だけしに来いと言った。そんなに疲れているのならと、泊まり込んだ。




でも、なんだよ、それ!
父の看病はできないが、銀行は行けるのか!!










人間の屑…。






田舎なので、家はいつも鍵をかけない。夜の門灯ももったいないので付けないでくれと言う。真っ暗な玄関。
暑かったら窓を開けて寝る。






これが、3か月も家にあったのか…。今日も弔問客が引きを切らない。対応にてんてこまいだ。名前もわからない人がどんどん上がってくる。それなのに…。




怒りで、手が震えた。





父の働いたお金を…と、思ったら情けなくて、情け無くて…。
通帳に入れて金庫に入れておいたらまだ安心なのに。。。




とにかくこの現金は、銀行へ入れないと怖いから、と、私が、持ち出そうとしたら、
『持って行かないで!!大丈夫!そこに置いといて!!』と言って、母は、非常に怒った。






まるでルパン三世のように大きな袋二つに札束を持って近くの銀行へ、震えながらクルマに乗り込んだ。
銀行で、事情を話すと、別室に通されて、説明を受けた。




父が生前下ろしたものなので、今私の口座にとりあえず入れて、後で相続しようとしたら、それは、「相続」ではなく一回私に「贈与」することになってしまうので、ものすごい税金がかかってしまうと言う。
貸金庫も、今日すぐにはできないと言う。




なんという事。








結局、自宅で保管するしかないという結論だった。
泣きたくなった。






仕方なく、一回、東名高速で自宅に帰り、息子が家に運び、家の雨戸を全部閉めた。二階の電気は二十四時間つけておく事、息子が外出禁止で、留守番をすることを言いつけて、再び実家へ。

怖かった。


全て自分のものにしようという老婆の猿知恵。それが裏目に出て、このお金を




すぐに相続しなければ




銀行へ入れられない






という恐ろしい事態になったのだ。






冷蔵庫の中身は全部腐っていた。が、それを昼に食べている。
『これは腐っているよ』
と言うと、怒り出す。
あればあるだけ食べてしまう。
そしてグーグー眠る。
何か指摘すると、烈火の如く怒る。








弟によると、父が亡くなった時、

母は、もう、
『息、してないね。』


と言ってベッドの横にしばらく立っていたが、寝室に行って、布団に入ると、すぐにいびきが聞こえたと言う。弟は、それを見たら、もう何もしたくなくなったと言う。こんなに必死でやっているのが馬鹿馬鹿しくなったと言った。もう、嫌になった、と、泣いた。


葬儀の翌日だ。情けない。
こんな中、遺産を相続か…。




急いで遺産リストを作り、印鑑登録をしに一回帰って、再び実家で書類を作り判を押し、すぐに銀行を回って、それぞれの口座におさめる事になった。




帰宅したら、母は、失禁してしまった…。


続く…。
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ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

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