2020/07/06
父退院す
今日父が退院しました。ホスピスではなく、お家に帰ることができました。私は、お花をあげたくて、農協へ…。奇跡の様に農協にまさかの蘭が売っていました。四本で、お花は20個以上も付いています✨
この蘭、1100円。驚くお値段。
そして少しかわいいダリアなども買って家のスモークツリーと、葉蘭などをアレンジして、大きな花かごにおさめました。
そして、父が病院から出てきた時に『退院、おめでとう!』と、笑顔で渡しました。父は、声を振り絞って、ありがとうと、言いました。

蘭はお見舞いには最適です。香りもなく、ものすごく長持ちします。以前お花屋さんから勧められて、とても良かったので、こういう時には、蘭を選ぶようにしています。
が、今日は、こんなにお手頃に手に入って!とてもうれしかったです。滅多に置いていないのです、農協には。
私は、季節の赤い薔薇をたくさんぎゅーっとブーケにしようと思っていましたが、蘭の方が安かったので(笑)蘭にしました。素晴らしい✨農協!!
このアレンジは、病床の枕元に置いて、元気が出る様にと、パッと明るいアレンジにしました。生命感溢れる、強いアレンジにしました。
車椅子で出てきた父は、顔色は青白く表情もなく、ぼんやりと正気のない表情でした。
息子は、就活のスーツに最終面接にした父のネクタイをしめて、行きました。
『おかげさまで第一希望の会社に内定を頂きました。』と、報告しました。
父は、うなずいていました。
そして、息子とダダと私、それぞれに父に手紙を渡しました。
もしかしたら、薬でぼんやりしているのかもしれません。話ができない様子でした。
父はなんだか、この世の存在ではないようでした。もう、残り少ない時間しか与えられていないだろうことが、分かりました…。覚悟をしなければいけない。そう思いました。
私は緊張しています。『その時』が来ることが、どんな風なのか。悲しいだけではない、恐ろしく、怖い、けれど、父を思うと少し温かいような、なんとも言えない気持ちと、緊張感が「覚悟」と共に、今、心にあります。
病院の出口に付けた介護タクシーに載って、車椅子をしっかりと固定してもらって、クルマがゆっくり出て行きました。
その時です…、クルマが出るその時に、父が大きく右手を上げて私に向かって手を振りました。大きく大きく手を振りました。見えなくなるまでずっと、窓いっぱいに手を振っていました。
スモークガラスの後部座席の父に、気がついた私。
『お父さんが、手を振ってる!!』
『ああ、本当だ!じいじが、手を振ってる!!!』
力を振り絞り、手を振った父。
皆で、いつまでも大きく手を振って…。
見えなくなっても、
手を振って、見送りました。
お父さん、お家に帰れてよかったね。
本当に良かった。
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