fc2ブログ

そうか、そうか…

実家にお見舞いに行った。

もし父が眠っていたら、と簡単な一筆箋に
挨拶を書いて置いて帰ろうと、用意して持っていった。


けれど、父は起きていた。


ババアは、見違える様に元気だった。


父が、点滴の中身を看護師に聞いて水だと言ったら、
点滴をしないで欲しいと言ったからだ。
点滴をしたら、浮腫が起きる、床ずれが起きる、そしてそのお腹に溜まった水を抜くのは痛いそうだ。
でも、数ヶ月は生きられるそうだ。


しかし、点滴をしなかったら、一週間か、二週間。
そのまますんなり亡くなるそうだ。それを先生に確認して父は点滴を拒否した。


そして、人にお風呂に入れてもらうのが嫌だと、
それもしてもらっていない。


車椅子も持ってきてくださったがそれもいらないと。
外にも出たくないと。


そのまま自然に逝きたいのだろう。


ババアはもう食事の心配はない、生活で介助することはない。
晴れ晴れとした様な顔をしていた。


そして、
父は、私の目を見ない。


何故かわからないが、私の息子には笑顔を向けるのに。
私の顔を見ない。


よく解釈すれば、悲しいのか、
それとも…。


ババアに言いくるめられて色々吹き込まれているのか。
私はするべきことはした。
人の心を操作することはできない。




なんだか、情けなくなった。


が、十分もしたら、父はうとうとと眠ってしまった。


帰ろうとして、


『お父さんが少しでも快適に過ごせますように、毎日祈っています』
と書いたものを封筒に入れて、そばにおいたら、
父は、ふと目を開けて一瞬、顔を歪めた。


電話も嫌なら手紙も嫌なのか。それとも、
笑ったつもりが、作り笑いになったのか、
わからない。


けれど、最後まで私の目を見なかった。


悲しかった。


もう、これでお終いだ、と言う気持ちがした。


もう、父とは心の中で切れた様な気がした。
悔しくも、悲しくも切なくもない。


あるとしたら…、虚無感…。


二人して、
こんな最期の最期まで、娘一人を悪者にして、


どんな人生だ。


この娘を自分たちで育てたと言う感覚はないのか。
自分が育てたこの娘の心を信じると言う
気持ちがないのか。


ないのだろうな…。育ててないもん。


自分は、自分の息子がどんな性根の持ち主か、しっかりわかっている。
絶対しなそうなこと。しそうなこと。
それが、わからないのだな。


父に対しての私の気持ちは通じなかった。
でも、よく考えれば、それは当然だ。


通じていたら、家で虐待など起こるはずがない。
残念だけれど、そこを知らなかったとは言わせない。


最期の最期で、母の言うことを信じるんだね。


そうなんだね。






でも、最期に笑顔で手を握って別れるなどと甘い幻想を抱いていた自分が甘いのだ。そんなことは、よく考えればわかるではないか。


そうか、そうか、と心の中で、何度も呟いた。




そうなんだよ。






こんなに自分が傷つくならば、
もう、お見舞いはこれきりにしようかと、考える…。









スポンサーサイト



よろしければクリックお願いします

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アダルトチルドレンへにほんブログ村アダルトチルドレン

にほんブログ村 家族ブログ 児童虐待・幼児虐待へにほんブログ村児童虐待・幼児虐待


コメント

非公開コメント

プロフィール

ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR