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土下座させた

『本当に悪いと思うなら、そこへ這いつくばって土下座しろ!』

ラーメン屋に響き渡る私の声。


みなが黙った。


ノロノロと席を立ち、私の横の油でベトベトした床に座った母。


『申し訳ありませんでした』


『誰が頭を上げていいって言った』


『申し訳ありませんでした』


私は、母の目を鬼のように睨みつけていた。


と、


『私、帰る』


と今度は母がキレた。


『子供じゃないんだから逃げるな。自分が怒鳴った言葉と態度には責任を持てよ。なに逃げてんだよ!言いたいことがあるなら、私の前でしっかり言え。』


『いえ、ありません。私が悪かったです。でも、ダダにも怒鳴ったって覚えはないんだけど…。』


『うううーん、無意識かもしれないけど、僕も何回も怒鳴られたよ。悪いけれど、何度もつっけんどんにもされたよ。』とダダ。


『そんなはずはないわよ…。』母。


『でもそうなんだよ。』ダダ。


『私だって自分のお父さんが、死にかけてるの!あなただけが辛いんじゃないでしょうに。私だってこうして笑顔で父と話すのが、精一杯だよ!!!それを、「アンタは関係ないから元気そうでいいね~」って、どういうことだよ!』


『小さい頃から、怒鳴られ続けてきて、もう何回めだよ。謝っても謝っても繰り返してるじゃん!私だって今、哀しくて精一杯なのになんで私に八つ当たりするんだよ。いい加減にしろよ。私の気持ち、考えたことある?私が弱いから、馬鹿で許してくれるからナメてんでしょ。』


『あなたは、いつも、自分自分自分自分。自分のことしか考えていないのよ。人の気持ちなんか考えたことないのよ。』


『私も精一杯なの。辛くて家族に迷惑かけているときもあるの、私は自分と自分の家族を守るから。あなたの関わると具合が悪くなるのよ。好き勝手に怒鳴って私たちの心をズタズタにしないで。』


『あのさ…、僕も思ったけれど、じいじにも、あの言い方はないと思うよ…。』と、黙っていた息子がポツリ…。


3対1になった。


『私だって、もうどうしていいかわからないし、もう…。』母


『じゃ、そういう時は、人に当たり散らしていいんだ!!そういうのは、許されるんだ。私がどれだけ傷ついているのか、わかる?悪いけど、もう限界。』


するとくどくどと言い訳を始めた。


で、私は、ブチ切れた。


そして、許して欲しいなら、土下座しろ。と言った。


今日、父の具合がたいそう悪く、緊急で病院へ行くから来てくれと頼まれた。ダダも会社を休んで付き添ってくれた。息子も、もう会えないかもしれないと来てくれた。


私が父の携帯に電話をすると、母が出てこう言った。



『お父さんね、アンタの電話に本当は出たくないの!アンタの電話シツコイから!本当忙しいのに、嫌なのよ!!!』


父はもうホスピスを考えるほど体調が悪い。なのに、私と話をしたくないと、父が言うのか…。ダダはそれは母の嘘だと言う。嫉妬だと言う。けれど、悲しい話だ。


ほんの数分のホットライン。それが迷惑なのだと言われた私の気持ち…。


ふっと気がつくと父を思う。体調どうかなぁ…。ご飯食べられているかな…。


翌日、結局診察後、すぐに入院になった。


そして、また、些細なことで母はダダにも怒鳴ったのだ。


もうこの1か月、この八つ当たりの怒鳴り声に我慢してきたが、いい加減にして欲しい。


私は、これから起こることはわかっている。


癌から水が溜まり、浮腫が起きる。痛みが出てくる。水を抜くのは痛い。そして癌性の熱。モルヒネも合う合わないがあり、色々大変だ。乳がんの場合は大概こんな感じだ。こんな道標を知っておくのと、全く知らないのでオロオロするのではだいぶ違うのだが、母には、もう教えない。


今日の腫瘍マーカーは標準値の10倍を超えている。気分も悪いだろう。


なのに、『なにも食べない!』『寝てばかり!』と責めるのは、お願いだからやめて…。


今日は、私は、母に、言いたいことを全て言ってきた。まるでダムの決壊だ。


でも母が理解したかというと、絶対無理だと思う。言い訳を繰り返していたから。


そして、主治医からホスピスを勧められたら、携帯にかじりつく母。


父は、家に帰りたがっている。


最近気がついたのだが、父は、家で母の言動をシャットアウトしているのだ。もうそれは、若い頃からそうだったに違いない。母のことは家政婦程度に思っている。ただ、住み慣れた家の自分の寝室で最期を迎えたいのだ。


ホスピスに入ったら、コロナで面会は出来なくなる。母は、それでも良いのだと思った。


「今日、私が怒ったことをまわりにペラペラ喋ってお父さんを心配させるんじゃないわよ。お父さんに私の悪口を言って残りの時間を喧嘩して過ごすようになったら一生許さないから!わかった?」


でも、コイツには絶対、無理だわ…。馬鹿だもん。


あとは野となれ山となれだ。


もう、諦めている。
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プロフィール

ダリア

Author:ダリア
可愛くない私を、嫌々育てた母。仕事第一の父。そして溺愛された弟。病んでいく私。
ネグレクト、被虐待児のいく末です。

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