2018/07/12
怪我よりも恐ろしい怒鳴り声
七五三の思い出、もうひとつ。お友達が晴れ着を着たと言って、呼ばれた。
小学校一年生だったと記憶している。
飴は、お呼ばれした皆に振る舞われた。
ひとしきり庭で写真を撮る。
優しいおばあちゃん、おじいちゃん。
そして、七五三飴をいただいて、家に帰る時、
そのお宅の二階の部屋から外階段を下りる時に
転んでしまって、私は、階段から落ちてしまった。
手には、クチャクチャになった七五三飴の袋。
顔から落ちて、歯が折れた。
血だらけになった私を、友人のお母さんが、
優しく介抱してくれて
送ってくださった。
家に着くと、興奮した母が怒鳴る。
「何やってるの!!なんで、手すりを掴まないの!!!
全く卑しいんだから!!飴なんかどうだっていいのに!!!」
「飴を握りしめていて、馬鹿みたいに喜んで階段から落ちたんだってさ!」
母の言葉。
人間は、咄嗟の時には、手に握っているものを握り変える事は出来ないそうだ。
そのまま、持っているものを握りこんでしまう。
そして、手で支えることなく、顔から落ちた。
ソファーに寝かされて、ギャーギャー泣く。
怖かったからだ。興奮する母が。
「そんなに怒らなくても。今、ちょっと、そっとしてあげたら?」
と、おばちゃんは、言いながら、帰ってしまった。
おばちゃんの、言葉をとてもよく覚えている。
母は、女の子だから、顔に怪我をしたら。とか、なんとか
言い訳を散々していた。
でも、面倒なことをやりやがって、という顔が、アリアリとわかる。
たしかにそんな事も言っていた。
とにかくこういう時は、言いたい放題。
さて、
恐ろしかったのは、その後だ。
卑しいだの、そんな飴なんか、食べたことあるでしょ、だの、
何故飴を手から離さなかったのか延々と責められた。
手をつけば良かったのに。と。
私は、卑しい。飴ごときで。
自分でも、そう思った。怖くて自分を責めた。
何があってもいつもそうだ。
お前が悪い。
唇や歯は痛くはなかった。ただ、怖かった。
泣き疲れて眠ってしまった。が、また、怒鳴る声で、目がさめる。
まるで、バケツの水をかけながら行われる精神的リンチだ。
眠る。怒鳴る声で、目がさめる。この繰り返し。
父が帰宅しても、私がいかに馬鹿なことをしたのかを父にがなりたてた。
唇は大きく腫れて、前歯が二本折れた。
〜後に歯医者に行って診察を受けると、正確には、歯の根っこが折れた。
当時のレントゲンには写らなかったが、この出血では、恐らく折れているだろう、と、言われた。
でも、当時の医療では、放置でした。
グラグラでいずれ抜けてしまうかもと医師には言われた。
「まったく、馬鹿なんだから!」
「歯がないなんてみっともないじゃない!」
何日も死ぬほど怒られた。
今でもその声が耳から離れない。
怖かった十一月の日。
友の家の玄関の美しく仕立ててあった菊の鉢植え。
泣きながら見ていた。
何故かよく覚えている、その菊の鉢。
帰ったら怒られると思って、帰れなくて、
呆然と、泣いていた。
立派な菊の鉢の前で。
血だらけのタオル。
口の中は、いつまでも血の味がした。
スポンサーサイト
コメント
管理人のみ閲覧できます
2018/07/12 16:40 by 編集
No title
いつも勇気づけていただいて
ありがとうございます。
きっとkさまもお辛い思いをなさっているのでしょう…。
お優しいお気持ちありがとうございます。
歯は、根っこ近くが折れていて、当時のレントゲンには写らず、
しばらくそのままでした。痛かったのだと思いますが、
言えるはずもなく…。
でも何年も、歯茎から血が出ておりました。
臭いと、言われていました。
その何年も後、
義歯を入れてもらいました(笑)
2018/07/12 17:11 by Dahlia URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2018/07/12 17:48 by 編集
No title
見た目だけは、残っていました。
グラグラで。歯茎に埋まっている根っこのところが折れていたんで、四年もずっと出血したまま。
(笑)
少し残ってた根っこに、金属を刺して差し歯にできました…。良かった。
今は、私にはもったいないくらいすごく優しい主人と、これまた優しい大学生の息子と、幸せな家庭を持って暮らしています。
たまに鬱が出てしまいますが、理解してくれていてとてもありがたいです。
心配してくださってありがとうございます😊
2018/07/12 18:01 by Dahlia URL 編集
2019/02/07 11:07 by URL 編集
No title
安心して過ごせる今の家庭でも、それだけかかりました。
闇は深いです。
名無しさん、希望はありますよ。
小さな事から始めてみましょう!
2019/02/10 20:16 by Dahlia URL 編集