2018/07/11
七五三の晴れ着
「あんな馬鹿みたいな、ことはしないから。」
七五三のことだ。
母が私に選んだのは白のズボンのスーツだった。
これだったら、何かあったら着回せるでしょ。
だが、着たのはこの一回きり。
神社では、晴れ着の女の子で賑わっていた。
神社にはこの日の為に結った日本髪で晴れ着ではしゃぐ子供たち。
パニエの入った鮮やかなドレスを着る子もいる。
子供らしいお姫様チックな姿ではしゃぐ子ら。
これは大人の趣味ではない。
子が着たいと言ったものを着せてやる度量が、
母にはなかった。
あくまでも、自分の趣味を押し付けた。
自分の満足が第一なのだ。
華やかで、そこだけ光が当たったような
晴れやかな家族。
写真を撮るおじいちゃん、おばあちゃん。
目を細めている。
私は、さっさと弟と、写真に収まる。
つまんないなぁ。と、手持ち無沙汰にしていたのを覚えている。
それを見れば、母は益々私が可愛くないと感じたのだろうなぁ。
「笑いなさい」
と言われれば言われるほど、惨めな気持ちになる。
なぜ、ズボンなんだろう。
惨めだった。
母は、女性という性に何か嫌悪感を持っているのかもしれない。
「女」が嫌なんだ。
「キチッと理知的な格好がいい。フリルや、レースなんて大嫌い。」
と、よく言っていた。
「いいでしょ、これで、
こんなくだらないのは馬鹿馬鹿しくて大嫌いなのよね。
賢いひとはこんなことにお金は使わないもの。
親戚なんかよんで、宴席なんて、やだやだ。」
ヒステリックに叫ぶ様に繰り返す。自分に言い聞かせるように。
正当化するように。
この人は、生きていること自体が嫌だったのでは…と、最近思う。
生活に困っていたわけではなかった。
ただ、母がそういうことが嫌いなだけ。
面倒なのか、どうなのか…。
親戚に行くと、同じ歳の女の子の晴れ着の写真を見せられる。
その場では、褒めちぎるくせに、帰り道では
「あんなのにお金をかけてバカみたい」
と、けちょんけちょんだ。
私は、ひとというのは、こういうのが普通なんだと、
「学んだ」
ひとは、怖い、と、学んだ。
陰では、こんなに馬鹿にしている。
けれど、絶対にこれで、良いんだ、と、
私は自分の感情を殺してきた。子供は、そうしないと生きてはいけないから。
「私なんか…私なんか…」と、自己評価は低くなっていく。
そんなお祝いをしてもらう価値などない、と。
母は絶対。
その洗脳は、五十年、とけなかった。
生きていく為に、必死て抑えていた感情。
封印していた感情。
皆さまお子さんが、可愛くないと思ったら、
里子に出してくださいね。我慢して育てても、
不幸を呼ぶだけです。
子供の心を壊してまで、我慢することはありません。
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コメント
里子、わたしも同感です。
夫婦もそう。本当に嫌なら離婚した方がいい。お互いの悪口を聞かさせる子供ほどかわいそうなことは無いから。
家庭内に愛がないと、世界に愛なんて無いと絶望して生きていくことになるのです。
うちの母もそうでした。子供の好みより、自分の好み優先。子供の感情を尊重しない人でした。
子供が出来る仕組みがそもそも間違いだと思うんです。もっと苦しいものだったら…って。それならできちゃった結婚などもほとんど無いだろうし、望まれない子供や、せっかく生まれたのに虐待される子もかなり減るのに。
本当に欲しくて、子供を育てたいと心から思う余裕のある人が親になる仕組みに…、
2018/07/11 16:30 by k URL 編集
No title
「子宝」などという言葉は、今や死語かしら、と、
思う時も事件もありますよね。
子供が子供を産む社会。
自分の身勝手で子供を産む母親。
仕方なく産む親。
母親にはなれないのですよね。産んだだけで。
ただの動物です。
母も父を何年も無視していたことも
ありました。
理由はないです。多分。
ただイライラするからだと思います。
ウチも夫婦仲は悪かったです。
同じですね…。
びっくりです。
あんな動物に
負けずに、生きましょう!!
2018/07/11 16:55 by Dahlia URL 編集
2019/02/07 10:58 by URL 編集
No title
どうしてそんな事が言えるのでしょうね。
それにしても、やり口は全く同じですね。
そっくりで、恐ろしいです。
2019/02/10 20:18 by Dahlia URL 編集