2018/07/24
遊園地のパレードが来ると、そわそわする。
なぜって、小さな子供を楽しませようと夢のような笑顔がいっぱいだから。
「かあたんと、何か乗り物に乗っておいで!僕は、ここで、場所をとっているからね。」
と、主人は息子に笑顔で言う。
すっごく優しい主人。
パレードが来るよ。
こんなに、みんなのために。きれいで、可愛いくて楽しい笑顔で。
それは、幼い人たちへのエンターテイメント。
みんなを楽しませようと、あれこれ工夫された仕掛け。
わぁ、と歓声が上がる。
鼻の奥がツンとする。
泣きそうになる。
そして居心地が悪い。
あの赤いかわいい帽子も、魔法の杖も、みんな幼い人たちへの楽しい演出。
ね、楽しいよ。って。美しい歌声。猫ちゃんも来るよ。
ほら、見て!
大きなリボンや、ふわふわのマント、赤や、黄色のストライプのフレアスカートが、ひらひらと、ひるがえるさまは、女の子にとっては、まるで、夢の様。
美しい光、色鮮やかな衣装。ヒラヒラと舞う花吹雪。
暖かい家族の姿。子供のためにたくさんの風船を買って来るお父さん。はしゃぐお母さんと子供。ピースサインの写真。
ふと、いたたまれない気持ちが沸き起こる。
あれはね、お仕事でしてるって、よくよくわかっているのに。なぜ心が動いてしまうのか。泣きそうになるのかな。隠れたくなるほど、居心地が悪くなってしまうのかな?
~~私は、なぜ、そんな風なんだろう。
それは、主治医によると
『幼い頃、母に、笑いかけられたことがなかったから』だそうだ。
ディズニーランド。こんな華やかな場所は、私なんかみたいな「嫌な子」は来ちゃいけないような気がして…。
そしてひとりで、いたい。
「あんた、ほんとに、嫌な子。」と、蛇のような目で私を見る母が、まだ、心の底にいる。いきなり、幼稚園のカバンをものすごい勢いでひったくり、声が枯れるまで怒鳴り散らす母。「この子は本当に憎らしい」と、近所のおばさんに大声で言う母…。
近所のひとが様子を見に来るくらいの常軌を逸した叱責。
冬の夜に、外に放り出される。生垣の脇で猫と寝る。そのうち、その唯一の友人の猫を、母は、私の知らぬ間に、捨ててしまった。死ぬほど怖かった。母は、「あんたもいなくなればいいのに」暖かいコタツで、みかんを食べながら、気味悪く言った。私もいつか捨てられる。私は、「嫌な子」。そう刷り込みがされた。
実は、私は、身体の痛みを感じない。なんでも、我慢できる。幼い頃は、交通事故にあっても、平然としていた。
右人差し指の骨にヒビが入って、さらに関節が二つ捻挫していても、舞台でサン=サーンスの動物の謝肉祭全曲の連弾が、弾けてしまう女(笑)出来映えは知らないけれど…。(笑)幼い頃は、どんなひどい怪我でも、痛い、と言ってはいけなかった。そう育ってきた。野良猫みたいにひとりで治す。今でも高熱があっても気がつかない。不調がわからない。死ぬまで働く自分。怖いものです。
母は、私が、まわりのひとに褒められるのを極端に嫌った。「かわいいわね」なんて言われたら、「あー、やだやだ。」「いい気になるんじゃないよ。」と機嫌を損ねる。それからしばらくは、小さなことで怒られる。『あーーーーーイライラする!』と怒鳴られる。~~嫌な汚い私の方が好きなんだと、刷り込まれていた。
私は、女性が、怖い。どう振る舞えばいいか、わからない。こんな歳になった今でも、まだそんな気がしてしまう。
男性は、平気。男子の友人は多かった。気が楽。高校は、ほぼ男子校。これは本当に良かった。楽しかった。男子は、容姿のことなんて何も見てないし、そういうところには鈍感で気がつかないから。(笑)
でもね、幼い頃は、いつもひとりでいた。きれいな石を集めたり、草花を摘んだり、していた。長い時間よくそんなモノを眺めていた。
「これを克服しないといけない、自分の力で切り開いていかねばならない、親のせいにしていたらいけない、と、思う必要は、ありません。親のせい!そう思ってください」
「自分は悪くないと毎日思ってください」
「自分らしく生きたっていいじゃないですか」
「本当の自分を自分で育て直してください」と、何度も、主治医に言われた。
そう、自分を苦しめていたのは、自分の中の『ものさし』。みんなと同じように生きなければ、と、思うこと、これを捨てればいいんだ。
あぁ、ディズニーランド…。私は、あそこで堂々といられない。
この気持ちは、今もどうしようもない(笑)
居心地の悪い、場所なんだ。
お盆は家族が集まる。
暗い台所で、母が鼻にしわを寄せて幼児のように言う。私の顔を見て。
耳を疑う。
「大っ嫌い」
聞かなかったふりをして普通に振る舞う。
頭がおかしいのかと思う。
たった二時間いるだけで、まいってくる。
蘇るんだなぁ…、色々なことが。五十年も前のことが。
気味の悪い蛇がどこからかヌルヌルと顔を出す。
この蛇はね、母が死んでもきっとずっとずっと私の心の中に居続けるだろう。
いつもは仮死状態でいるが、たまにこうして顔を出す。
実家に行く時は、必ずノーメイクで、ジャージで。ズック靴で。
それが一番なのです。
いらぬ嫉妬を買うことはありません。
汚くして行く。(笑)
私の苦しみは、母が生きていても死んでも関係ないのだそうです。
心に住み着いた恐ろしい蛇を自分がこの手で殺すまでは、
この苦しみからは、解放されない。
〜〜これを内在化というそうです。
腹に一物あるような気持ち悪い居心地の悪い家。
「あなたは自分らしくいてはいけない」というメッセージが
送られてくる。
父、弟までも、黙り込んでいる。母の不機嫌に支配された
この家のいつもの雰囲気。
気を使った義妹が私に話しかけてくれる。
ありがとう◯ちゃん。
心の中の蛇と一緒に生きる必要はありません。気味の悪い蛇を殺してしまうことです。その蛇を殺すのは、実際の蛇を殺すのと同じくらい勇気のいること。ほどいてもほどいてもでも、しつこく腕に絡みつく白い腹の気味の悪い生き物。この蛇の退治に五十年取り組んでいます(笑)
完全なひとはいない。
欲張らないこと。
こういう人も、たくさんいる。
みんな何かを抱えて生きている。
私の家はこの主人と息子のしあわせな家。
私の家は、ここなんだから。
私は覚悟を持ってこれを書き続けていきます。被虐待児がどの様な思いで生きていくのか、書いていくつもりです。そして人間の心をこわしてしまうとどうなるのか知って欲しいのです。
弱いだれかを虐待しているひと。あなたが今していることは、犯罪です。